第3回日本老年薬学会学術大会

〜健康長寿を目指した多職種協働による老年薬学の新たな挑戦〜
みずほ調剤センター薬局 上田さゆり

 2019年5月11日-12日 名古屋コンベンションホール(グローバルゲート)にて開催されました。

 初めに摂食嚥下障害と薬剤の服用についてのシンポジウムを聞きました。食べることは生活の中心です。ポリファーマシーや薬の有害事象が摂食嚥下障害の原因になっている可能性があるので、薬剤の見直しは重要です。患者さんが口から服用することを想定してOD錠や細粒等の剤型を検討し、嚥下機能を低下させるような薬の処方があった場合にはしっかりモニタリングをする必要があると再認識しました。とろみを付けて服用させる場合、水に溶かしてからとろみをつけるのか、とろみ水に錠剤や細粒を入れるのか等、とろみ水の扱いもヘルパーさんや施設によって違いがあるので、介護者からの聞き取りも必要だと感じました。

  また、別のシンポジウムでは、人生100年時代と言われ、如何に最期まで幸せに「生ききる」かが重要なテーマであり、「生涯現役社会」を構築することが求められているとの話をききました。現代社会では、「食べ過ぎ・運動不足・ストレス」が多く、体の中の複数要因が関係する老化や生活習慣に起因する疾患が中心なっているので、「生産年齢」の段階から健康管理の取り組みを促していくことが重要となります。生活指導では「食事・運動・ワクワク(すること)・薬」の順で考えるという言葉が印象に残りました。健康長寿社会は「自律」がもたらすものであり、老人の笑顔が大切です。 施設管理者から、施設は「病気という個性を持って“生きる”を続ける場所」とのお話もありました。薬剤師の目線で施設スタッフ・看護師と関わり利用者個別の相談ができることがその施設の強みであると話されました。
 オンライン診療に関わる医師からは、単に医療従事者と患者をつなぐだけでなく、医療の個別化、かかりつけ機能の強化、チーム医療の推進に繋がるものでなければならない。記録された日々のデータを見ることができ、次の診察に生かすことができるとおっしゃっていました。

  毎日の業務の中で考えたり疑問に思ったり、気になっていることが多くの場面で取り上げられており、自分の生活習慣も振り返ることができた大変興味深い学術大会でした。

学会・活動報告

このページのトップへ