第42回薬剤師会学術大会に参加して

いの森調剤センター薬局 佐藤千佐子

平成21年10月11日(日)から12日(月)まで大津プリンスホテルで行われた学術大会にて、帝京大学医学部内科学教授の滝川一先生の「薬物性肝障害の診断と最近の動向」というセミナーを聴講しました。

肝障害には、ウイルスによる肝炎と薬物による薬物性肝障害があり、薬物性肝障害も劇症肝炎となり死亡にいたることがあります。

薬物性肝障害の予測可能なものは、濃度依存性があり発生頻度が高いという特徴があります。(アメリカのアセトアミノフェンの中毒による肝障害など)予測不可能なものとしては、代謝の特異体質やアレルギーによって 、おこるものがあります。薬物の代謝の過程で、解毒される経路に進まず、アレルギー反応を起こす物質を形成して肝障害が起こってきます。種々の薬物でそれぞれ代謝経路がわかってきていますが、その中にはアルコールの代謝と同じ経路をたど り有害な物質を生ずるものもあり、このような場合アルコール摂取で肝障害がより起こりやすくなるので注意が必要です。

肝障害を起こしたと報告された薬剤は、ラミシール、テグレトール、パナルジン、ロキソニン、リピトール…など多岐にわたりますが、健康食品のウコンなども注意が必要です。 1ヵ月から3ヵ月ほどで肝障害を起こす薬剤 が多いのですが、長期服用している漢方薬や先程のウコンなどは1年2年後に発症することが多いそうです。

また、薬剤の基材で肝障害が起こることもあり、どの薬物も肝障害が起こるしうることを念頭におくことが大切です。薬物性肝障害の診断基準は、専門的で区別のむつかしいところがあるとのことですが、薬剤師としては、患者さんの様子(黄疸や、尿色が濃くなるほど)を見開きして、適切に血液検査をするように伝えることが重要です 。肝障害が起こったときの治療の基本は薬物の中止で、多くは無治療で治療するとのことですので、早期発見すべく日々注意が必要だと考えさせられました。

学会・活動報告

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